インデックスに戻る



Directed and Produced by
純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2002年8月のニュース一覧
▼[2002.08.30]洗礼で洗い浄めよ
▼[2002.08.29]スパムの今日この頃
▼[2002.08.28]永遠のナツヤスミ
▼[2002.08.26]あしたの市場
▼[2002.08.25]行く方の道
▼[2002.08.24]グランドワークス
▼[2002.08.22]雪みるジュエル
▼[2002.08.20]将来,未来永劫の責任
▼[2002.08.18]まともな社会,其処此処?
▼[2002.08.16]風格と騒音
▼[2002.08.14]人への郷愁
▼[2002.08.12]ネクスト・チップ&キーワード
▼[2002.08.11]紙のいない生活
▼[2002.08.10]見えない星空を見て
▼[2002.08.08]必要なのは,破壊
▼[2002.08.07]自律の夢
▼[2002.08.05]「自由」「標準」の紋章
▼[2002.08.04]急くべき,捨つるべき
▼[2002.08.03]使えない音楽と人たち
▼[2002.08.02]at your ownownown risk

■2002年09月のニュース一覧
■2002年07月のニュース一覧


 
[2002.08.30]
  洗礼で洗い浄めよ


 ▼動画メールでドコモとJ-フォンを突き放しにかかるKDDI(@IT)
  http://www.atmarkit.co.jp/news/200208/27/kddi.html


 驕りし思いを浄め給え,真実に目を背け続けし身を浄め給え,欺瞞に満ちた行いを浄め給え。

 KDDI社は,メールに動画を添付して送信できる第3世代(3G)携帯電話の「ムービーメール」サービスを9月20日に開始する。動画メールの機能はJ-フォン社も行っているが,動画の録画時間を15秒と3倍にすることで差別化する。

 3Gが完全に路頭に迷っている。ドコモのFOMAは大失敗の果てに鳴りを潜め,J-フォンも開始を12月に先延ばししている。KDDIの今回のサービス発表もメディアはそれなりに伝えているが,魅力を感じている人は少ないのでは? と思う。J-フォンがこのKDDIの発表の後でも,あんのんと現在の2Gのムービー写メール端末を出すのは(ZDNet Mobileの記事),5秒を15秒にしたからユーザーが乗り換えるとは全然思ってないからだろう。

 たぶんKDDI自身も,そんなことには気付いているような気がする。高い料金を払って,動画を送り合うと本気で考えているのだとしたら,かなりマーケティング的に間抜けだ。現時点で,3Gを魅力的にみせるコンテンツはなにもない。もしかしたら,ホットスポットのような形式のサービスが拡大すれば,いつでもどこでもメールなりチャットなり,IP電話なりのサービスを利用でき,携帯電話自体,もう必要なくなる。制限されたIP接続サービスよりも,完全なIP端末があれば,なにもいらない。IPの洗礼を受けた社会は,すべての中途半端なものを洗い落としてしまう。そう考えると,携帯電話メーカーはなにをすればいいのかわかるはずだ。もう,携帯電話を作る必要は,ない。




 
[2002.08.29]
  スパムの今日この頃


 ▼東京バイツ 世界中の億、数十億のアドレスに無差別に配信される勧誘について(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/08/28/03.html


 天国に警察はありますか? という質問は馬鹿げているだろうか? 悪い人がいないなら警察はいらない? なら天国のメールアドレスにスパムメールは1通も来ない,の?

 毎日数10本のダイレクトメールが届く。GTLDのアドレスを使っていたり,メーリングリストの管理をしていたり,海外のメーリングリストやメールマガジンを購読しているのも影響しているのだろう。

 ひとことでなにが云いたいのかというと,マックOS X 10.2 ジャガーのMailのスパムフィルターはかなり賢いということ。最初のうちは,○○さんからのメールは全部スパムですか(^^ゞと笑わずにいられなかったのだけど,1度それをスパムぢゃないと指定してやれば,次回からは間違うことはない。違うメールアドレス,違う件名でもきちんとスパム指定してくれるので大変楽に使える(pic)。なにげにスパムのように来続けるウイルスメールも指定しておくと,同様にスパム扱いしてくれて便利便利。

 だが,だ。スパムをちゃんと認識してゴミ箱に捨ててくれるのはありがたいと云えばありがたいのだが,あいも変わらず来るスパムは来続ける。「差出人に戻す」こと(pic)もできるが,送信者のメールアドレスがいい加減だったり,なりすましだったりするとサーバーや関係ない人に迷惑がかかる。解決策は思い付かない話でもあり,とりあえずはMailに依存してみる今日この頃。




 
[2002.08.28]
  永遠のナツヤスミ


 ▼『Jaguar』のサーバー・バージョンも登場(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2002/Item/020826-4.html


 面倒な,困った,うんざりするようなことはなにもなくなったジャガーは,まるで,やっとやってきたナツヤスミのようだった。

 アップル社のマックOS X 10.2 ジャガーはデスクトップ・バージョンに関心が集まっているが,企業向けに改良したサーバー・バージョンも発売されている。マイクロソフト社が大きなシェアを持つ「企業インフラに食い込みたい」とアップル社の責任者は述べている。

 終わらないナツヤスミがあったら,ナツヤスミはナツヤスミのままだろうか? ナツヤスミが終わらなかったら8月31日のうんざりするような気分は味わわなくてもすむけど,永遠に続くナツヤスミは,8月31日で終わってしまうナツヤスミほど楽しいものではない,かもしれないの?

 PCの進化,ネットワークの進化は,ナツヤスミとナツヤスミを待つ時間との繰り返しだ。秋も冬も春もない。ナツヤスミとナツヤスミを待つ時間しかない。ユーザーはナツヤスミを享受し,そしてまた次のナツヤスミを待ち続ける。ナツヤスミは短かかったり,期待に反してないこともある。でも,ジャガーのナツヤスミは長そうだ。永遠とも思えるようなナツヤスミの中で,いろんなことができそうだよ(と,云いつつ,システムがフリーズするとこんな画面が表れるのを知った夏の終わり(^^ゞ,カーネルパニックはなくなったの? (Featuring『ナツヤスミ語辞典』成井豊)




 
[2002.08.26]
  あしたの市場


 ▼PayBITS: 情報の価値をあなたはどう考えますか(TidBITS)
  http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-643.html#lnk4


 あしたのために,できることは…。

 高価な情報とタダの情報との違いは,ほとんどないか,あってもごくわずかだ。これまで情報の価格は,誰かによって勝手に決められたものだったが,そろそろ私たちは情報の内容自体によって価値を量るやり方を模索してもいいのではないだろうか。パトロンが必要な時代もあったし,情報の流通は時代とともにかわる。そして今,これまでのビジネスモデルは引き裂かれようとしている。TidBITSはPayBITSという記事ごとへの寄付受付を開始する。

 たとえばある商品が1万円で売っていて,ある人にとってはとんでもなく高いと思う商品でも,ある人には10万円を出しても惜しくはない代物だったりすることもある。ある人はお金をもらったっていらないと思うものに,今まで楽しめた,または影響を受けた量を考えたら10万円でも惜しくない,と云う人もいる。商品の価格とは,その商品の価値とは無関係だ。だが,もし私たちがその情報に対して,内容を踏まえた金額を渡すことができる市場形態だったら,私たちは,1円もお金を出さずにすますだろうか?

 さて,音楽CDの話だ。3000円が高いと思うか安いと思うかは人それぞれ,この音が3000円で手に入るなら安いと云う人もいるし,生産コストが大幅に下がっている中で価格維持を続けているのは暴利をむさぼっているだけだと云うのも簡単だ。…私たちは,きちんとしたお金の流れができ,そしてネットワークと親密である,より確かな市場を作る必要がある。当然,これまでの市場形態はすべて破壊してのこと。パトロンがいなくても自分の音楽を多くの人に聞いてもらうことができるようになったように,暴利をむさぼり,音楽を愛することすら忘れている人間を介してしか音楽を広く聴いてもらえない世界は,変化を必要としている。私たちは,次の,音楽市場の形成を考えなければいけない。頭の悪い人を頼りにせず,自覚を持って。




 
[2002.08.25]
  行く方の道


 ▼Mac OS X 10.2 発売開始 カウントダウンイベントには原田社長も登場(MYCOM PC WEB)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20020823304.html


 行く方に道あり,来し方に道なし,の,ジャガーの激走。

 アップル社の新しいOS,「マックOS X 10.2 ジャガー」が発売された。有楽町ソフマップでは,アップル・ジャパンの原田社長が出席してカウントダウンイベントを開催。集まった熱心なユーザーの関心を集めていた。

 と,云うことで使っているが,思ったよりも大きなトラブルはなく,順調に移行できている感じがする。動かないソフトもいくつかあるが(CD-Rソフトのトースト・チタニウムは5.14ではトラブルが起きるが5.13では大丈夫,あと私が日常的に使っているものでは付箋紙ソフトのCellu_Itだけど早期に対応してくれそう)。ヤヴァイと思っていたPixela Captyも微妙に画質が落ちている気がするが動作している(Capty TVはよくない話を聞くけど)。

 確かに,目にみえていた不具合はことごとく消えている(気がする)し,新機能は目を引く。Mailのスパムメール対策もなかなか凝っているし(ガンガンエラーメッセージを返せるところがいいね,pic),ファインダー動作の機敏さはとりあえずの完成形かもしれない。クラッシュしたソフトのログ表示(pic)も解説が出てくれば有用だ。なによりあれもありこれもありの共有機能(pic)に簡易ファイアウォール(pic),慣れるとすこぶる楽しいiChat,まだ使い道は少ないが最も革新的な機能であるランデブーなど,ネットワーク系の充実は特筆ものだ。もう10.1xを使う理由は少ない(でもひとつだけ,ヘルプの表示の遅さはなんなんだ(^^;。




 
[2002.08.24]
  グランドワークス


 ▼「最初のインターネット・ブラウザー」にもなりえた? 『ハイパーカード』(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20020823304.html


 まだネットワークが一般的でなかった時代,オフィスを動かすためのものがパソコン,ではなかった時代に,今ほとんどの人がウェブを日常的に使っているのと同じ土台を持ち合わせていた道具があった。

 ハイパーカードの開発者であるビル・アトキンソン氏は,ハイパーカードを世界初のインターネット・ブラウザにできたかもと残念がっている。アトキンソン氏をはじめ,多くの人がいまだにハイパーカードを使い続けている(WIRED NEWSの記事)。

 懐かしいなぁ,ハイパーカード。今から10年くらい前だろうか,私もハイパーカードを使っていろいろなものを作って遊んでいた。プログラミングの知識も技量もなかったが,ハイパーカードを使えば簡単なデータベーススタックなどすぐに作ることができたし,ページ物のデジタル・ブックも簡単に作れた。パソコンで,手軽に「ものを作る楽しさ」を感じさせてくれた,そんな道具だった。そして,よくよく考えると,今のウェブと似た形態だったことを思い出す。

 それぞれのカードを作成し,場合によっては音声や画像,動画なども貼り込めて,そのカード同士をクリックひとつで移動できるリンクボタンでつなげる。…ネットワークという要素さえ付け加えられれば,ウェブそのものだったかもしれない。センシティブで,包容力があり,誰でも気軽に接することができる優しさを持っていた。モザイクなどにも多少は影響を与えているのでは? とも思うけど。




 
[2002.08.22]
  雪みるジュエル


 ▼Windows版iPodはこんなにスゴい!(WPC ARENA)
  http://arena.nikkeibp.co.jp/trend/pickup/20020810/101491/


 iPodを手に持って想うこと。

 アップル社初のウインドウズ用周辺機器となる,ウインドウズ版「iPod」が発売になる。ハードディスクはFAT32形式で,外付けハードディスクとしても機能し,付属ソフトとしてミュージックマッチ・ジュークボックス・プラスが添付されている。

 「世界一高価な宝石はなにかと聞かれたら,あなたはなんと答えるだろう? ダイヤモンド? いや,違う。それは,アイピー,日本名で貴伽(きか)という名の宝石だ。流通量は少ない。いや,まれにオークションなどでしか流通しないと云ってもいいだろう。そんなのお店でみたことないって? それは当然だ。このアイピー,無色透明で,人間の目にはみえない。

 かげりも影もなく,においもない。ただ,しんと静まった無音の場所だと,雪の降る音がするという。雪の結晶が地に触れ,すっと消えていく,または雪原に舞い降り,触れたことにも気付かぬほどにすっと結晶を重ねていく,あの音が。人はその音に,せつなさを感じたり,愛しさを感じたり,笑いの意味を知ったり,涙の意味を知ったりする。アイピーをみていると(みえないんだけど),天にひらひらと舞う雪が,地の果てまでも白で覆う雪原が目に浮かぶ。胸につのる想いを,抑えながら。」




 
[2002.08.20]
  将来,未来永劫の責任


 ▼著作権論争を傍観していてはいけない(asahi.com)
  http://www.asahi.com/english/svn/gillmor/K2002081700390.html


 今は責任を感じないかもしれないが,この責任は大きいんですよ。ずっと,ずっと,私たちはその責任のなかで生きて,死んでいくことになる,…か?

 我々には,エンターテインメント業界のねじ曲がっている言語と理論を元に戻す必要がある。DVDを大量にコピーして安値で売りさばくことは犯罪的行為だが,自分で購入したCDをパソコンで再生するための私的複製は海賊行為ではない。が,業界はすべてを海賊行為としている。だが海賊行為について考えるなら,著作権期間を何度も延長してきた業界は,公共の財産となるべきものを私有化し,私たちから盗みをしている。業界こそ,最大の海賊だ。

 そう,傍観していれば誰かがなにかをしてくれる,ということはない。そして,今傍観している責任は,未来永劫私たちの責任として覆いかぶさってくる。もう一度,きちんと認識しよう。自分のために音楽ファイルや動画ファイルを作成することも,コピーすることも,情報として共有することも,悪でも罪でもない。それは息をするのと一緒,ご飯を食べるのと一緒,日常である。息をするな,ご飯を食べるなと云われて,はいそうですかと納得できるのなら,そうすればいい。それに反発をするのが当然だと思うのなら,現行の著作権制度は,すでに従う価値のないものとして破壊すべきだ。

 とある方から,コピープロテクトCDなどの問題は将来必ず私たちに返ってくる,戦争責任などと同じだ,と云われたのが心に残っている。今コピープロテクトCDを許している私たちは,将来大きな責任を負わさせる。子供たちに云われるだろう。お父さんたちのときにコピープロテクトCDが出て,それに対してなにもしなかったから,今の時代では音楽も動画もなにも楽しめないものになっている…,と。私たちは,大きな責任を負うことになるのだ。なにもできなかった老人どもが,と,その時代の人々に蔑まれながら。あなたは,それに耐えられるのか?




 
[2002.08.18]
  まともな社会,其処此処?


 ▼[コラム:Spencer F. Katt]“ソラリス”の陽のもとに(@IT)
  http://www.atmarkit.co.jp/news/katt/2002/katt02.html


 制裁を受けなければいけないのに,まったく受けず,平気な顔をしているのを許している社会って,どうなんだろう。

 それはそうと,マイクロソフト社とリナックスの関係も興味深い。レドモンドの住人たちはオープンソース・コミュニティへの「和平のしるし」としてリナックスワールドへ出展決定をしたが,主催者からは「その他大勢」と呼ばれる展示ブースエリアを割り当てられた。そりゃプライドを傷つけられるだろうね。

 なにはともあれ,ふたたびスペンサー・F・キャのコラムを日本語で読めるのは,とてつもなくうれしい。@ITに感謝感謝。もともと今のZDNet エンタープライズがeWEEKの翻訳記事を掲載しているときに読むことができていたが(ZDNetの検索結果),それがなくなって寂しい思いをしていた。私の語学力だと癖のある英文は読みきれないので。とにかく,相変わらずのスパイシーペッパーオニオン風味のテキストは心地いい。

 それはそうと,MSだ。バグやウイルス発生の根源としてや,新しい無法極まりないマーケティング戦略などで信頼がた落ちだとか(WIRED NEWSの記事),最後にMSにプラスに働く記事を読んだのはいつだったろうかと思うくらいだ。文句を云われつつも使われていて,すぐに乗り換える選択肢もないと思われているのだから幸せのことだ(ほんとはOS Xでもリナックスでも云いたいところだが,それがまかり通るぐらいなら世の中とっくに変わってる)。こんな社会は,まともと云えるんだろうか? とカット風に考えてみるのだよ。




 
[2002.08.16]
  風格と騒音


 ▼アップル、PowerMac G4の全モデルをデュアルプロセサに(Nikkei BizTech News)
  http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf/CID/onair/biztech/gen/201234


 そりゃもぉ謎の大怪獣のような風格を兼ね備えて刺激のあるデザインだけど,常時起動し続けていることが多いときに気になることがある。解決するには水冷システムでも導入するしかない?

 アップル社は,パワーマックG4の新製品を発表した。マックOS X 10.2を搭載し,すべてのモデルでパワーPC G4プロセッサを2個搭載している。価格は21万4800円から。

 新しい筐体の登場が期待されたけど,肩透かし。iMacが大きく変ぼうを遂げただけに,3年半以上続いているポリタンク型からの脱却は待ち望まれているところ(初代ブルー&ホワイトG3の登場は99年1月のこと)。まぁとはいっても,大きく拡張性に余裕を持ったこの筐体に不満があるわけではなく,ただ単にアップルのハードウェアデザインの新展開をみたいだけかも,という気も。

 ひとつ気になる点としては,やはり騒音だろうか。パワーマックG4ユーザーから稼働音がうるさいという苦情はよくきく。で,実際にそばに置いていると,確かにファンの音はかなりうるさい。常時接続,OS Xでのサーバー稼働などで常時起動させていることが多い人は増えているだろうから,この不満は解消して欲しい。通風の意味があるのかどうかわからないが,この背面phはどうも笑うに笑えないし…。めっちゃ強そうなイメージづくりは結構成功しているような気がするので,その点だけが気掛かり…。




 
[2002.08.14]
  人への郷愁


 ▼21世紀、ハイテクが人類の未来を変える(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/Enterprise/News/2002/Item/020807-1.html


 相手の人のことを知ること,相手の言葉を受け取ること,相手の気持ちを握りしめること。リアルでは面倒で,避け続けていたそれらに,純粋に面と向かう,ネットワークとは。

 全米科学財団から「人間の能力向上のための学際領域技術:ナノテクノロジー,バイオテクノロジー,情報技術,認知科学」と題した報告書が発表された。人々が脳をつなぐ地球規模の集合知性,寿命100歳を超える人類,人格をネットワークにアップロードするコンピューターなど,未来への大胆な予測が多く,実現可能か? 有用か有害か? などの意見が出ている。

 夢物語のようなことが新しい発見や科学的な進歩によって実現可能になるか,というように述べられているが,ことネットワークに限ってはそうではない。ネットワークとは,この10数年で生まれ,今後も新しい技術を取り入れていくものではなく,太古から存在していた。それがただ,具現化されただけだ。

 メールやIMのやり取りがなくても,人間は意志のやりとりを行っていた。気持ちは伝わり,意志は相手に明確になる。そのみえなかった糸が,今はネットワークと呼ばれている。ただ,それだけだ。人間の知は無意識のレベルで集合していたが,目にみえて,検索可能なデータブロックとして現在手を伸ばすことができる。そのなかで,人間本来の姿に郷愁を感じることもあるだろう。忘れていた,相手の意識との接し方,結びつき方。あぁ,なんて懐かしいんだろう。人とは,もともとこんなものだったのか,と。




 
[2002.08.12]
  ネクスト・チップ&キーワード


 ▼IBM woos Apple with PowerPC "on steroids" Coming soon: Power4...(silicon.com)【英語】
  http://www.silicon.com/public/door?6004REQEVENT=&REQINT1=55033


 搭載メモリの上限など,限界も見え始めてきたG4の,次,はもう動いている。

 IBM社がサーバー向けの64ビットのパワー4プロセッサーをデスクトップに採用してもらうよう,アップル社と話し合っていると情報筋は伝えている。パワー4は基本的にパワーPCと同系になるため,設計的にパワーPCから移行しやすく,G4チップのアルティベックに似たベクトル演算ユニットを備えるという。今年中に2GHzのクロックを目標としている。

 VMXと呼ばれるというこのチップ。10月14日からのマイクロプロセッサー・フォーラムでのお披露目が予想されている。アップルがインテルチップに移行する可能性が高いと云うアナリストの予想が話題を振りまいているが(CNET Japanの記事),現実的にはこのVMXなるものの方がオッズは高そうだ。

 マックのインテルチップ移行という話も折りに触れてあらわれる話題で,90年代初期のスター・トレック・プロジェクトのように,実際にインテルチップ上のマックOSが開発されていた時期もある。それがOS Xという起爆剤,決して順調とは云えないアップルの販売計画でまた顔を出しただけに過ぎないと考えたい。インテルはなく,モトローラのつまずきの多いロードマップを考えると,G4になって遠ざかっていたIBMへの回帰というのは可能性として大きい。PC陣営に先駆けての64ビット化,そして現行のメインのG4からの移行のしやすさを考えるとVMXをメインに持ってくるというのが,今年の年末商戦か来年から打ち出す,新たなキーワード,と考えたい。




 
[2002.08.11]
  紙のいない生活


 ▼図書館も書物も不用、ペーパーレス大学への試み(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20020808208.html


 紙のない生活を想像するのは難しいけど,それは意外といい部分も多そうだ。

 デモイン・エリア・コミュニティ大学ウェスト・デモイン校は,ペーパーレス校を目指している。学生はPDAを持って授業を受けている。図書館はなく,調べ物をするときはウェブを利用する。まだ学生の紙依存は大きく,紙からデジタルへの移行には多少の慣れが必要だ。

 なければないでやっていけるんだろうな,と思う。例えば紙資源が不足してきたので,急激に紙の使用を抑制してくださいとでもなれば,なんの気なく使っている紙は使わなくなるだろう。紙はいくらでも無限にあると思っている私たちは,幸福なのか不幸なのか微妙だ。

 そして音楽CDなどよりMP3の方が扱いやすいように,ビデオカセットよりムービーファイルの方が扱いやすいように,テキスト情報などもデジタライズされて,ネットワークに解き放した方が100倍は使いやすくなる。それによって情報は,自由に拡散し,無限に複製され,キーボードショートカット3つで編集され,一生会うことがない人のキーワードに検索されるようになる。世界にある情報はそのように扱われた方がいいに決まっている。そのために必要なのは,記事にあるようにほんのわずかな考え方の違い,だけなのかもしれない。




 
[2002.08.10]
  見えない星空を見て


 ▼天体シミュレーションソフトの最新版「ステラナビゲータVer.6」発売(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/08/08/28.html


 ワイヤードで見上げた星空は,幽世(かくりよ)の夜空に相似していた。

 アスキーソリューションズ社は天体シミュレーションソフトの最新版「ステラナビゲータVer.6」を発売する。紀元前10万年前から西暦10万年までの星空を解説してくれる,プラネタリウム機能も搭載している。

 実社会で星を見なくなって,どれほどが経っただろうか。もちろん,太陽も月も星だろと云われればその通りだけど,同系以外での話。だが,だ。地上が明るくて見えない星は,ないのではなく見えないだけだ。冬の夜空には雄大なオリオンと妙なる瞬きをみえるシリウスが輝くのを見られるが,冬の真昼には夏の大三角が存在する。街の灯りであれ,太陽の光であれ,ただ見えないだけだ。

 ワイヤードの星空を見上げると,現世(うつしよ)の夜空とは違う,謎の夜空が広がっているかもしれない。さそりがプレアデスの煌めきに食い付き,獅子のデネボラが南の魚のフォーマルハウトと仲睦まじくしている。でもそれは,現実的ぢゃない光景ではない。どこにいてもいつでも,その星たちは天高くに存在する,という証なのだ。




 
[2002.08.08]
  必要なのは,破壊


 ▼ハイテクウォーカー ネットワーク技術の発展に法律は追いつけるか?(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/08/06/04.html


 司法・行政・立法のどれも,そして著作権や一部の権力志向の人たちの思考にいたるものまで,ネットワークへの対応がまったくできていないものは多すぎる。一度,根底から破壊してしまった方が,早い。

 情報ネットワーク法学会の設立総会。プロバイダ責任制限法のパネルディスカッションでは,現時点ではまだまだ問題点も多いことがあげられ,先日の2ちゃんねる裁判での判決については,同法案の作成者が「総務省としてもこの判決は意外だった」と発言,判決は管理人の責任を重く見すぎではという見解を示した。サイバー犯罪についてのディスカッションでは,最近よく聞くF5攻撃について,F5キーを押すこと自体は正当なアクセスで犯罪として処罰するのは不適当という意見も。

 先日の2ちゃんねる裁判については過去記事の通りだが,あまりにも現実のネットワークと差があり過ぎるプロバイダ責任制限法においても,たよるべき法律などないということを実感する。フリーネット上のフリーネット・メッセージ・ボードやフロストのような,完全匿名の掲示板システムもすでに稼働しているときに,IPアドレスが記されていれば…というのはなんともお粗末すぎる議論だ。

 実社会ではなにか攻撃されたら司法を頼りにすればと思うかもしれないが,ネットワークでは司法はなんの頼りにもならない。たぶん未来永劫そうだろう。著作権などもまったく同様だ。現実のネットワークとからきし相容れない現行の著作権に未来などあるはずがない。かまわず私たちは,ネットワーク上で現行の著作権を無視してもさし支えない。舞台の上の警察官に逮捕されるいわれはないのと同じだ。ネットワークを基本に,司法や著作権を1から考え直せるように,きちんと破壊してあげることが,今すべきことである。




 
[2002.08.07]
  自律の夢


 ▼流行語を斬る:自律コンピューティング(ZDNetエンタープライズ)
  http://www.zdnet.co.jp/enterprise/0208/05/op_01.html


 人間の心理,神経,脳,生体は,まだわかっていないことが多い。でも,それらが全部わかったら,人間の行動は全部論理的に説明でき,る?

 IBM社の構想力はたいしたもので,2年前に「自律コンピューティング」を打ち出した。自己修復できるシステムをさす言葉だが,現在なんにでも自律コンピューティングという言葉が使われる兆候がみられる。そのうち,セルフタイマー付きのコーヒーメーカーにも自律型のラベルが貼られそうだ。

 自律するもの,というのは考えれば考えるほど難しい。録画予約を実行しているビデオデッキは自律しているとは云えない。云われたことをこなしているだけだ。例えば,野球中継で時間がずれ,それにきちんと合わせて録画時間を移動させてくれるビデオデッキだったら,自律していると云えるっぽい。でも野球中継の画面例をいくつか登録して,この画面が出ているうちは録画をスタートしない,という設定を前もってしているとなれば,ビデオデッキはそれに沿って行動しているだけになる。ん? 自律しているんぢゃなかったのか?

 すると,人間の行動も自律しているなんて云うことができなくなる。人間のすべての行動には理由がある。なんであの人が自殺したのかわからない,という話をよく聞くが,他人にはわからなくても本人には理由がある。もしかしたら,言語表現できないこと,なだけかもしれない。なにか,理由に沿った命令があって行動がある。プログラムと一緒だ。「自律」という言葉自体がそんな夢だとしたら,自律コンピューティングの追い求めているものは,なんだ?




 
[2002.08.05]
  「自由」「標準」の紋章


 ▼Helixは「フリー」への小さな一歩(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0207/25/cead_perens.html


 「無秩序」と「独占」に,人々は飽き飽きしている。たとえ生活しやすくとも,楽しいとは思えない。まったくそれと反対の2つが,必要なのだ。

 リアルネットワークス社が自社ソフトの一部をオープンソースとして公開するというニュースに,多くの人が不意を打たれた。オープンなオーディオフォーマットであるオッグ・ボルビスもサポートすると云う。だが同社が成功するにはオープンソースのさらなる推進が必要だ。

 アップルはMPEG4のデフォルトプレーヤーとして,クイックタイムに「標準」という紋章を付けた。公式に標準であるものはすべてサポートする。MPEG1,MPEG2,MP3。標準であるものに一切のためらいをなくすことを,いちばんの武器としている。そして今のところそれは,好印象を生んでいる,ような気がする。

 リアルは,「自由」という紋章を打ち出した。さらにはアップル同様,標準のMPEG4のサポートも予定している。記事にあるように,ともに動機はひとつ,標準から逸脱し不自由の根源である,ウインドウズメディアへの当て付けだ。アップルは,ダーウィンで「自由」の紋章を使っており,その両方の使い分けこそが現在のアップルの象徴となっている。MSにはどう転がっても持つことができない,この2つの紋章は,次の時代を生き残るために必要なものだ。いや,その紋章を持つものにしか,未来は与えられない。




 
[2002.08.04]
  急くべき,捨つるべき


 ▼Apple to Slam Lid on Mac OS 9(eWEEK)【英語】
  http://www.eweek.com/article2/0,3959,431382,00.asp


 とは云っても,OS9で起動しないマックを売り出すと,クォークを使うためにマックを買うという企業は絶対買わなくなり,売り上げは大きく落ちる(^^ゞ。急かしたいのに急かしきれない,微妙な舵取りが続く,が。

 アップル社がOS Xへの移行が遅い開発者やユーザーに,強行な手段に出るのではという話が伝わってきた。新しいマック製品では,OS9が起動しなくなるかもしれない。次のOS Xのメジャーアップデートであるピノ(OS X 10.3)では,OS Xのみでの動作がより強くなるだろう。マックの市場となっているDTP分野では,クォーク・エクスプレスのOS X版は来年1月に発表されるかもしれないが,エクステンションの対応はまた待たなければいけない。

 5月の世界開発者会議(過去記事)でのジョブズによるOS9の葬送式は,確かに開発者にとってはもうOS9は死んだんだということを強く印象づけたが,だがユーザーはまだまだ,ではある。私的にはOS9で起動することはもうまったくなくなったが,世間的にはOS Xなどインストールもしていないという人が多いことは知っている。フォトショップもイラストレーターもOS X版は出ているが,アップデートの費用やOS X版のフォント購入の費用がこの不況の中でなかなか引き出せず,プリンタやらなんやらのドライバを探しまわるのも面倒と云う気持ちもわからなくはない。だが,だ。

 人は生まれてくるときにはなにも持っておらず,死ぬときもなにも持っていないとなると,手に持ったものの量と捨てたものの量は同数であることがわかる。生きると云うことは,ものを捨てることと同義。捨てて初めて人は前へと進める。捨てるものは,なにも考えずに捨ててしまった方がよい時期がある。OS9はすでにそういう存在である。そういう存在でしかない。




 
[2002.08.03]
  使えない音楽と人たち


 ▼プレスプレイ、無制限ダウンロードを提供(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2002/Item/020802-1.html


 使われない音楽とは,つまり魅力がないものだ。使えない音楽を売ると云うことは,魅力のないものを売っていると云うことだ。

 大手レコード会社が出資しているオンライン音楽配信サービス,プレスプレイが年額179.40ドルでの楽曲の無制限ダウンロードというサービスを提供する計画だ。だがこの計画では一部レコード会社の曲が利用できなくなる可能性がある。5大レコード会社すべての楽曲を利用できるストリーミングサービスにはラプソディがある。

 ラプソディはいいサービスだ。とんでもない量の曲に自由にストリーミングでアクセスできる。膨大な楽曲がいつもネット上にあって,いつでもどれにでもアクセスできる。だが私たちには,曲をCDに焼いて持ち運んで車の中で聞いたり,iPodに入れて街中で聞いたりしたいという欲求もある。レコードをカセットテープに録音してウォークマンで聞いて…ということをしたことがないという人はいない。レコード会社にいま勤めている人で,それをしたことがない人がいる?

 楽曲は,そもそも利用するためにある。その使うことには,コピーももちろん含まれる。コピーできない,使うことのできない楽曲になど金を払う価値はもともとない。コピープロテクトCDも同様である。あれは売り物として欠陥品である。さらに云えば,クリックひとつで手に入るもの(それがWinMXでも,レコード会社の提供するサービスでも)をわざわざCD屋に行って買う人などいなくなる。いやすでにかなり減っているはず。なのに,いつまでもオンラインでの効果的な楽曲の提供をしようとせず,使えない曲を売ることに専念している日本のレコード会社はおめでたすぎる。一言で云えば,かなりの能無しだ。




 
[2002.08.02]
  at your ownownown risk


 ▼朝日新聞HPが徳島大会決勝戦を誤報(Sankei Web)
  http://www.sankei.co.jp/news/020725/0725sha125.htm


 ネットの絶対原則をひとつあげろといわれたら「at your own risk」。本当にたびたび聞く言葉でもあるけど。

 朝日新聞社のウェブサイトで,高校野球徳島大会決勝戦の誤った試合結果が一時掲載された。まだ試合中に,その後負けた高校が甲子園に初出場を決めたという記事が掲載された。準備していた原稿を誤って掲載してしまったという。

 なにげにこの手の話題はしばしばあがる。サッカーのワールドカップで,日本代表は1次リーグを突破し決勝トーナメントに進んだが,共同通信は3時間ほど,負けたときの原稿を掲載した(pic)。つまりこの手のニュースを伝えるには,買ったときと負けたときと両方の原稿をあらかじめ用意しといてどちらかを使うというのが,普通,なのだろう。

 昨今通信障害も引き起こして問題が大きくなっている携帯電話のワン切りで,うっかりその電話番号にかけてしまうことで10数万円の請求書が来たという話はなんとなくよく聞くが,ネット上のチェーンメールによるデマだという。ネット上には嘘や間違いは山とある。それから守ってくれる人はいない。頼れるのは自分だけである。バランス感覚を養い,浮ついた行動をいましめ,というのがより求められるのかもしれない。他者の責任を追求してもなにも得られるものはない。すべて自己責任,基本的なことだけど忘れてはいけないこと。




楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル